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「カイロプラクティックたんぽぽ」院長のブログです
この寒さ、膝痛の方にとっては、本当につらいものですが、膝痛の代表的な疾患である変形性関節症についての情報です。


変形性関節症の病因・病態に関する最新知見

 変形性関節症(OA)は高齢者に多い疾患であり,高齢化が進むわが国において今後,患者数の増加が予想されている。本疾患は日常生活動作(ADL)に大きく影響するが,その発症機序などについては不明な点も多く,治療法の改善も求められている。長崎市で開かれた第21回日本整形外科学会基礎学術集会(会長=長崎大学大学院整形外科学・進藤裕幸教授)において「変形性関節症はどこまで解明されたか」(座長=富山大学整形外科学・木村友厚教授,東京医科歯科大学大学院生体支持組織学系専攻生体硬組織再生学講座・分子情報伝達学分野・高柳広教授,藤田保健衛生大学整形外科学・山田治基教授,名古屋大学大学院運動・形態外科学・石黒直樹教授)と題するシンポジウムで,本疾患について病因,病態,診断,治療の各方面における最新知見が報告された。それらのうち,病因および病態に関する発表のなかから4題の概要を紹介する。

肥満,形態異常,不安定性,
筋力低下が発症に関与
 OAの発症要因は,全身的要因と局所の生体力学的要因に大別でき,前者はOAへの罹患しやすさに,後者は発症部位や重症度に関与すると考えられる。九州大学病院リハビリテーション部の三浦裕正助教授は,疫学的検討や臨床例および生体工学的解析から肥満,形態異常,不安定性,筋力低下はOAの発症に関与すると考えられ,軟骨下骨の硬化や潤滑機能の破綻もOA の進行に影響を与えることが推察されたと報告した。

ヒアルロン酸+リン脂質注入は
進行抑制に有用な可能性
 膝OAの発症・進展に関与する生体力学的要因として,肥満や形態異常,不安定性,大腿四頭筋力低下,軟骨下骨の硬化,潤滑機構の破綻が挙げられる。
 このうち体重に関しては,身体活動に伴い膝関節には,例えば平地歩行では体重の 3 倍,階段昇降では約 5 倍,ジョギングでは約 8 ~10倍の荷重が加わる。 三浦助教授らは,疫学調査から体重は性,年齢,脊椎症,手指関節症,体重,屋外活動量とともにOAの危険因子であるとの成績を得ている。
 アライメント異常や関節不適合といった形態異常は,負荷の増大,応力集中,不安定性を惹起しOAの発症や進行に関与する。OA膝では正常膝に比べ関節の内側部に接触圧の上昇が認められるが,高位脛骨骨切り術を施行すると,接触圧の均等化が得られる。また,変形性股関節に対する大腿骨転子部外反骨切り術を施行すると,接触領域の適合性が改善し,接触圧の均等化および圧低下が得られ,臨床的に有効である。
 関節の不安定性については,靭帯切離によるOAモデルや前十字靭帯損傷後のOA患者では関節の不安定性が惹起され,接触圧が増加する。また,不安定性はOAにおける疼痛発現因子でもあることが疫学調査から判明している。
 大腿四頭筋は関節の安定化,接触圧分布の均等化に関与するが,大腿四頭筋力が低下すると,負荷の増加を来す。大腿四頭筋力と膝OAの関連性についての報告は多く,筋力増強訓練により症状の改善が得られることが明らかにされている。
 軟骨変性が生じると,荷重緩衝能の低下により微小骨折と修復治癒により軟骨下骨の硬化を来すが,それによりコンプライアンスの低下,応力不均等・集中の発生により軟骨変性がさらに進行すると考えられている。同助教授は,脛骨の良性腫瘍に対する掻爬後のセメント充填例にOAが発生しやすいことに着目し,軟骨下骨の力学的変化が関節軟骨に与える影響をモデル実験した。関節軟骨内部の応力を測定すると,軟骨表層および中間層では応力の上昇は認められなかったが,軟骨石灰化層ではセメント充填例で応力の上昇が認められた。軟骨石灰化層での弾性率を上昇させると,軟骨中間層で応力の上昇が認められたことから,軟骨下骨の硬化は軟骨内の応力上昇に関与していることが示唆された。
 関節潤滑の様式は,流体膜の形成による流体潤滑と,表面に吸着した分子間の潤滑である境界潤滑に大別できる。ヒアルロン酸関節内注入による保存的治療は,流体膜の形成により効果を発揮すると考えられるが,進行した関節症ではヒアルロン酸による流体膜の形成は困難で,適応は初期の関節症に限定される。一方,ラットを用いた実験では,リン脂質を含む吸着膜の存在が確認されており,リン脂質は関節潤滑において境界潤滑膜として機能すること,OAでは表層のリン脂質膜が消失していることが報告されている。

 そこで同助教授らは,家兎を用いてリン脂質添加高分子ヒアルロン酸による関節症の進行予防効果を検討した。振り子試験においてOAモデルでは関節の摩擦係数が上昇し,低分子量ヒアルロン酸単独添加群(HA80),高分子量ヒアルロン酸単独添加群(HA200)では摩擦係数の低下は認められなかったが,高分子量ヒアルロン酸+リン脂質添加群(PHA)では対照群と同程度の摩擦係数に抑制された(図)。このことから,ヒアルロン酸にリン脂質のような両親媒性成分を付加することによる境界潤滑性の向上が,OAの進行抑制に有用であることが示唆された。

Runx 2 を介した関節軟骨細胞の
病的肥大分化が引き金に
 東京大学大学院整形外科学教室の亀倉暁氏らは,メカニカルストレスによって誘導されるOAの発症過程において,軟骨細胞の肥大分化を促進する転写因子であるRunx 2 を介して関節軟骨細胞の病的な肥大分化が誘導され,最終的に関節破壊に至ることが示されたと報告した。 

Runx 2 が新たなOA治療の標的か
 OAでは,メカニカルストレスの蓄積によって軟骨変性と関節変形が進行する。亀倉氏らは,メカニカルストレスによって発症するOAの病態を解明するために,膝関節の不安定性によって発症するマウスのOAモデルを独自に確立し,そのモデルを用いて軟骨細胞の肥大分化に重要であるRunx 2 のOA発症への関与を検討した。
 最初に同氏らは,マウスの膝関節の内側側副靭帯(MCL)と内側半月(MM)を切離・切除することにより,関節不安定により発症するモデルを作製し,そのモデルマウスを用いて軟骨肥大分化のマーカーであるtype Xコラーゲンと最終分化マーカーであるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-13の発現を経時的に解析した。免疫染色での解析の結果,type Xコラーゲンは術後 4 ~ 8 週に,またMMP-13は術後 8 週において最も強い発現が見られた。
 Runx 2は骨芽細胞に必須であるだけでなく,軟骨細胞の肥大分化を促進してtype XコラーゲンやMMP-13を誘導することが明らかにされている。同氏らはOAモデルマウスにおけるRunx 2 の発現をreal time PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて検討したところ,術後 2 週と 4 週でRunx 2 の発現が上昇していたことから,正常な関節軟骨ではほんど発現していないRunx 2 がOA発症時に誘導されて,なんらかの関与をしていることが示唆された。
 そこで,Runx 2 ヘテロ欠損(Runx 2 +/-)マウスの膝関節のMCLとMMを切離・切除して,OAの進行とtype XコラーゲンやMMP-13の発現を,同様の処置を加えた野生型マウスと比較検討した。
 組織学的解析では,野生型マウスでは術後 4 週から関節軟骨の表層から変性が進行し,術後12週には軟骨破壊が深層にまで達していた。また,骨棘形成が脛骨内側縁で観察された。一方,Runx 2 +/-マウスでは軟骨破壊は著明に抑制され,骨棘形成過程の遷延が観察された。組織学的グレーディングスコアを用いて定量化したところ,Runx 2 +/-マウスの軟骨破壊および骨棘形成はともに野生型に比べ有意に低下していた。
 野生型ではtype Xコラーゲンの発現が術後 4 週から見られたが,Runx 2 +/-マウスでは発現が著明に抑制されていた。またMMP-13の発現は野生型では術後 8 週で強く見られたが,Runx 2 +/-マウスでは著しく抑制されていた。
 以上から,同氏は「Runx 2ヘテロ欠損マウスではメカニカルストレスによる軟骨細胞の肥大分化と軟骨基質破壊が抑制されるともに,OAの 進行も抑制された。このことから,Runx 2 はOAの新たな治療標的となる可能性が示唆された」と述べた。
炎症性サイトカイン,破骨細胞関連因子,
骨基質蛋白質の遺伝子発現が亢進
 OAでは関節軟骨の変性・破壊とともに,骨棘の形成,軟骨下骨の硬化など関節軟骨周囲の骨組織の変化が認められる。OAの軟骨下骨では骨代謝が亢進した状態にあり,軟骨下骨のリモデリング異常は関節形態の変化や軟骨変性に関与すると考えられているが,その詳細なメカニズムは明らかにされていない。一方,ビスホスホネートなど骨代謝に関連する薬剤はOA動物モデルで治療効果を有することが報告され,新しい治療ターゲットとして注目されている。近年,骨代謝における分子機構に関する研究が進み,骨吸収・骨形成にさまざまな因子が関与することが報告されており,特にRANKLなどの骨代謝関連因子は破壊細胞の分化・活性化を促進し,骨代謝におけるリモデリングに重要な役割を果たすことが知られている。京都府立医科大学大学院運動器機能再生外科学の外村仁氏は,硬化した軟骨下骨では炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-6およびRANKLの発現が亢進し,骨リモデリングや軟骨変性に関与している可能性が示唆されたと述べるとともに,骨棘形成の強いOAではRANKLおよび骨基質蛋白質のオステオポンチン(OPN)を介した骨リモデリングがその形態変化に影響している可能性があると報告した。

RANKLなどのコントロールで
病態の進行抑制の可能性も
 外村氏は,OA軟骨下骨の骨芽細胞における遺伝子発現を解析し,病態における意義を明らかにするため,膝OAの診断で人工膝関節全置換術を施行した 7 例(男性 3 例,女性 4 例)および股関節OAの診断で人工股関節全置換術を施行した 9 例(男性 3 例,女性 6 例)を対象に,術中に採取した軟骨下骨組織から骨芽細胞を単離培養して,炎症性サイトカイン〔IL-1β,IL-6,IL-8,腫瘍壊死因子(TNF)α〕,破骨細胞関連因子(RANK,RANKL,OPG),骨基質蛋白質〔オステオカルシン(OCN),OPN〕,熱ショック蛋白質(HSP)70の発現を検討した。
 膝関節OAについて同一患者における病変部間で炎症性サイトカインの発現を内側硬化部と外側非硬化部で比較したところ,IL-1β,IL-8,TNFαは両部位間で明らかな差は認められなかったが,IL-6は内側硬化部で有意な増加が認められた。破骨細胞関連因子では,内側硬化部でRANKLの有意な発現亢進が認められた。OCNおよびOPNは両部位間で有意な差は認められなかった。HSP70は内側硬化部で有意な発現上昇が認められた。

 一方,股関節OAにおいて大腿骨頭の骨棘形成の形態から通常群と変性群に分けて比較した結果,炎症性サイトカインについてはIL-1β,IL- 6,IL-8およびTNFαのいずれも両群間に有意差は認められなかった。破骨細胞関連因子ではRANKおよびOPGは両群間で有意差は認められなかったが,変性群ではRANKLの発現が有意に亢進していた。骨基質蛋白質のうちOCNは両群間で有意差は認められなかったが,OPNは変性群で有意に亢進していた。
 以上のことから,同氏は「OAの軟骨下骨ではIL-6およびRANKLを介した骨リモデリングの変化が生じていると考えられた。上層に位置する関節軟骨の変性には,IL-6などのバイオロジカルな影響,また軟骨下骨のリモデリングによるメカニカルな異常が関与していると推察された。また,炎症性サイトカイン以外の他の因子によるRANKLの亢進やOPNの発現が加わることによって,骨リモデリングがさらに増強されて骨棘形成や関節形態の変化が生じると考えられた(図)。これらの因子をコントロールすることで,病態の進行を抑制できる可能性が考えられた」と述べた。
加齢,肥満,膝外傷の既往が危険因子
 長崎大学大学院健康予防科学講座公衆衛生学分野の青柳潔教授らは,1998年から長崎県西海市大島町において骨粗鬆症およびOAに関する疫学研究(Hizen-Oshima Study)を行っている。同大学整形外科の橋川健氏とともにそのベースライン調査における膝OAの有病率およびその関連因子を検討した結果,加齢,肥満,膝外傷の既往が日本人女性における膝OAの危険因子であることが示唆されたと報告した。

日本人特有の生活習慣も関与か
 膝OAは高齢者,特に女性に多く,下肢の機能障害を来す代表的な疾患であり,ADL,QOL低下の大きな原因となる。これまでわが国では膝OAの疫学研究は十分とは言えないことから,青柳教授は日本人女性における膝OAの危険因子を明らかにすることを目的に調査を行った。
 対象は,大島町在住の40歳以上の女性586人。X線で両膝立位正面像を撮影し,Kellgren/Lawrence scaleでどちらか一方でもgrade 2以上の所見が得られた対象をOA群とした。また,身長,体重を計測してbody mass index(BMI)を算出した。さらに,質問紙を用いて,年齢,職業(専業または兼業の農業従事者/それ以外),膝外傷の既往の有無,身体活動(少なくとも週 1 回,汗をかく程度の仕事または運動)の有無,栄養摂取量(カロチンおよびビタミンC摂取量)を質問した。

 その結果,膝OAの有病率は33.5%(195人)で,50歳代から有病率は加齢とともに増加し,80歳代では約60%に達していた(図)。
 単変量解析の結果,OA群は非OA群に比べ,年齢が高い,身長が低い,BMIが高値,農業従事者が多い,膝外傷の既往を有する率が高いという特徴が見られた。膝OAの有無を結果変数としたロジスティック回帰分析の結果,各指標のオッズ比は年齢( 5 歳増加ごと)1.8(95%信頼区間1.6~2.1),BMI( 5 増加ごと)2.2(同1.7~3.0),膝外傷の既往3.1(同1.7~5.6)と有意であったが,農業従事,ビタミンC摂取量,カロチン摂取量は有意な危険因子ではなかった。
 海外の疫学研究において,女性,加齢,BMI,膝外傷の既往が膝OAの危険因子として挙げられている。米国のフラミンガム研究では対象の平均BMIは26.2 kg/m2,有病率が31.5%であったのに対し,北京研究では平均26.0kg/m2,有病率は42.8%と,白人と比較して中国人ではやせているにもかかわらず膝OAの有病率が高いことから,かがむ姿勢が多い生活習慣と膝OAの発症の関与を示唆する報告もある。今回の大島町における検討(他の研究と比較するため60歳以上の412人を対象)では平均BMIは23.4kg/m2,有病率は42.2%であり,北京研究と同様の傾向が認められた。
 職業と膝OAとの関連については,重労働,ひざまずいたりかがむ姿勢を伴う仕事の従事者では膝OAの有病率か約 2 倍多いとする報告や,農業従事者は非従事者に比べて有病率がやや高いとの報告がある。今回の研究においては,単変量解析では農業従事者の有病率は有意に高いが,多変量解析では有意ではなかった。
 このことに関して同教授は,年齢(高齢者に農業従事者が多い)の関与を指摘。「本研究の結果から,加齢,肥満,膝外傷の既往は日本人女性における膝OA発症の危険因子であることが示唆された。日本人特有の生活習慣などの関与も考えられ,さらなる研究が必要と思われる」と述べた。
第21回日本整形外科学会基礎学術集会
Medical Tribune[2006年11月23日 (VOL.39 NO.47) p.34]


長~い文章でしたが、そのまま掲載しました。
この情報をもう少し噛み砕いて、わかりやすく説明しないといけませんよね。
まぁ それは機会をあらためて・・・ということで。

それから、こうした研究も参考にしながら、カイロ的な、あるいは整体的なアプローチの有効性をもっと広くお伝えしていかなければなりませんね。

施術人として、やるべきことは、山積みです。