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「カイロプラクティックたんぽぽ」院長のブログです
慢性疲労は、たんなる身体的、精神的な疲労の蓄積にあらず。
急性感染罹患後の感染後疲労症候群が慢性疲労に発展していくこともあるようです。


急性感染が慢性疲労症候群の一因
〔ニューヨーク〕 シドニー大学(オーストラリア・シドニー)精神医学のIan Hickie博士らは,エプスタイン・バーウイルス(EBV),コクシエラ・バーネッティ(Q熱病原体),ロスリバーウイルスのいずれかに急性感染した患者253例を追跡した前向きコホート研究から,感染後疲労症候群の表現型が明らかになったとBMJ(2006; 333: 575-578)に発表した。さらに,感染後疲労症候群は,慢性疲労症候群に至る病態生理学的な経路の 1 つであることが実証された。

気分変調が最も早く消失
 今回の研究では,患者253例の症状が分析された。最初に 6 種類の症状領域を特定し,重点的に調べた。次に,この 6 種類の要因により症状の重症度を分析した。急性感染症の身体的・精神的苦痛を正確に把握するため,(1)急性症状(頭痛,発熱など)(2)易刺激性(いらいら,不機嫌,急激な気分変動など)-の 2 種類のカテゴリーが作成された。
 さらに,感染後の疲労状態または慢性的な疲労状態の古典的な記述を連想させる付加的な要因として,(1)疲労に関する要因(活動後の疲労の長期化,休息や休憩後の疲労感など)(2)筋骨格系疼痛に関する要因(腕,脚,関節などの疼痛)(3)気分変調に関する要因(神経過敏,緊張感,不満,抑うつなど)(4)神経認知障害に関する要因(記憶減退,集中力の低下など)-を特定した。
 研究チームは,対象となった253例を12か月間追跡した。感染 6 か月後の時点で,29例(12%)は日常生活に支障を来す疲労感,筋骨格系疼痛,神経認知障害,気分変調の症状が蔓延した。この29例中28例は慢性疲労症候群の診断基準を満たしていた。Hickie博士は「複数の異なるウイルス,または非ウイルス性病原体による感染から 6 か月以上にわたり,比較的均質な感染後疲労症候群が明らかにごく限られた数の患者に持続した」と述べている。
 250例における感染後疲労症候群の罹患率は,感染から 6 週間後が35%(87例),3 か月後が27%(67例), 6 か月後が12%(29例),12か月後が 9 %(22例)であった。
 感染 6 か月後に,感染後疲労症候群の患者と対照群に精神医学的評価を実施した。その結果,発病前に精神医学的疾患の診断を受けていた患者の割合と介入性の精神障害の罹患率には,両群で差は認められなかった。

感染重症度が最大危険因子に
 感染後疲労症候群の患者では,易刺激性に関する要因が経時的に最も急速に消失した。一方,疲労に関する要因と神経認知障害に関する要因は,疾病過程の後期になるまで消退しなかった。Hickie博士は「この有意差は,試験開始時と 3 か月後が最大であった」と指摘している。しかし,感染から 6 か月後には,感染後疲労症候群の患者に症状パターンの有意差は認められなかった。
 同博士は「 3 種類の特徴的な急性感染のアウトカムの評価において,EBV(DNAウイルス),ロスリバーウイルス(RNAウイルス),C. バーネッティによる感染後疲労症候群の罹患率は同等で,時間の経過とともに特徴的な症状が漸進的に融合したことから,病原体自体ではなく感染に対する宿主反応が感染後疲労症候群の決定因子であることが強く示唆された」と述べている。
 感染後疲労症候群は大部分が自然治癒に至るが,同博士は「感染後疲労症候群の患者は,慢性疲労症候群の広範な診断カテゴリーのなかで識別可能な小集団を構成しているのではないか」と指摘している。
 これらの病原体による感染症に罹患した患者の慢性疲労症候群の発現の最大危険因子は,急性感染の重症度であることが明らかになった。一方,感染後の慢性疲労症候群の発現を予測する人口統計学的,心理学的,微生物学的な因子はなかった。
 方法論的に特記すべき点として,EBVによる感染は血清学的に確認されたほか,慢性疲労症候群の診断には類似した内科的疾患と精神障害の除外を含む厳密な診断基準が適用されたことが挙げられる。
 今回の知見は,過去の 4 件のコホート研究(White PD, et al. Psychological Medicine 1995; 25: 907-916,White PD, et al. British Journal of Psychiatry 1998; 173: 475-481,White PD, et al. Lancet 2001; 358: 1946-1954,White PD, et al. Psychological Medicine 2004; 34: 499-507)の知見を支持し,詳細に説明するものである。
 これ以外に,2 件の関連研究(Buchwald DS, et al. American Journal of Medicine 2000; 109: 531-537,Candy B, et al. Psychological Medicine 2003; 33: 847-855)がある。
[Medical Tribune 2007年3月22日 (VOL.40 NO.12) p.52]



疲労が続く、取れないといった場合、安易に筋肉の疲れが・・・と判断できないこともあるということのようです。
今回の研究での取りあげられた、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、コクシエラ・バーネッティ、ロスリバーウイルス以外にも感染後疲労はあるようですから、こうした既往歴の有無もチェックしていかないといけませんね。