FC2ブログ
「カイロプラクティックたんぽぽ」院長のブログです
疼痛を感じるか否か,またどの程度の強さで感じるかを決定している領域は吻側帯状回というところらしい。
ということで、疼痛抑制システムに重要な役割を担っているであろう吻側帯状回は、内因性の疼痛抑制物質の結合に関与する領域でもあるので、この部位での疼痛誘発刺激に対する代謝活性の亢進をコントロールすることが、痛みのケアに応用できるというわけだ。
なるほど。



疼痛への"慣れ"を決定する領域に新知見
脳内の疼痛抑制システム解明の第一歩に

ハンブルク大学病院システム神経科学研究所(エッペンドルフ)頭痛外来のArne May講師らは,疼痛知覚において重要な脳内の"スイッチ"の発見につながる研究成果をドイツ連邦教育研究省(BMBF)発行のNewsletter(2007; 31: 7-8)で紹介した。

反復刺激で代謝が亢進
 これまでも,疼痛刺激への"慣れ"が疼痛抑制システムの一部であることは知られていたが,その具体的機序がどのようなもので,脳のどの領域で発現しているのかは明らかにされていなかった。これに対して,May講師らは「眼球のすぐ後方の脳に,内因性オピオイドであるエンドルフィンの結合に関与している領域があり,この領域が疼痛刺激に慣れるか否かを決定しているのではないか」と推測している。
 同講師らは,21~33歳の男性20人を対象に前腕に熱による疼痛刺激を与える試験を 1 週間にわたり毎日行った。その結果,被験者の75%では,繰り返し疼痛刺激を受けることにより最初の 1 週間以内に疼痛閾値が明らかに上昇し,これと並行して疼痛強度が低下した。これらの被験者では疼痛刺激への"慣れ"が生じたと考えられた。これに対して,被験者の19%では"慣れ"を確認できず,6 %では逆に疼痛の増強が認められた。
 代謝が活発な領域を不活発な領域から区別するとともに,その部位を同定するため,機能的MRI(fMRI)を用いて疼痛刺激に対する脳の反応を調べた。その結果,疼痛処理領域として知られている特定の脳領域では,疼痛刺激により代謝活性が明らかに亢進したが,刺激を繰り返すうちに同領域における代謝活性は明らかに低下した。これに対して,眼球のすぐ後方にある吻側帯状回は逆の反応を示し,熱による刺激が繰り返されることで代謝活性は亢進していた。
 このことから,同講師らは「疼痛を感じるか否か,またどの程度の強さで感じるかを決定している領域は吻側帯状回であると考えられる。吻側帯状回は内因性の疼痛抑制物質の結合に関与する領域でもあることから,疼痛抑制システムに重要な役割を担っていると考えられる」と主張している。

慢性疼痛の発生機序解明に期待
 外部からの刺激と神経系のさまざまな部位を介した体内での疼痛処理が,疼痛知覚に影響を及ぼす。ドイツでは約600万人が疼痛の持続に悩まされているが,"慣れ"は疼痛の慢性化から身を守るために,進化の過程で獲得された防御メカニズムなのかもしれない。この機序が障害されると,慢性疼痛発現リスクの上昇につながると考えられる。
 今回の研究では,一部の被験者において疼痛処理の方向性が異なっていることが示されたが,このことが,慢性疼痛を生じる者と生じない者がいる理由を解明する手がかりとなるかもしれない。
[Medical Tribune 2007年9月13日 (VOL.40 NO.37) p.07]