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「カイロプラクティックたんぽぽ」院長のブログです
どのような痛みの感じ方であっても、慢性疼痛においては、脳内に同じ"疼痛の痕跡"を残すという共通点があるようです。
さらに、疼痛処理の上で、重要な役割を持つ灰白質の減少は、慢性疼痛における疼痛抑制と疼痛調節の障害を表すものと考えられるようです。
この灰白質の減少が、疼痛記憶を表す可能性もあり、こうした記憶システムが疼痛の慢性化に関与していると考えられるかもしれないという点は、非常に興味深いですね。


疼痛が脳に残した痕跡を視覚化
疼痛記憶の関与に可能性
〔ベルリン〕片頭痛,過敏性大腸炎,引っぱられるような腰痛,ずきずきする幻肢痛など,慢性疼痛といってもその感じ方はさまざまである。しかし,これらの疼痛には脳内に同じ"疼痛の痕跡"を残すという共通点があるようだ。ハンブルク大学システム神経学研究所(ハンブルク)のArne May講師らは,さまざまな慢性疼痛症候群患者と健康人における脳内の疼痛処理部位を比較した既発表論文のレビューを行い,疼痛部位とは関係なく,脳構造には常に同じ変化が生じることを突き止め,その概要を連邦教育研究省(BMBF)のNewsletter(2008; 39: 3)で報告した。

pain matrixで灰白質が減少
 慢性疼痛患者および再発性疼痛患者では,特定の脳領域における灰白質のパターンが健康対照群とは異なっている。同領域はいわゆるpain matrixの一部で,特に疼痛処理の際に重要な役割を果たしている。May講師らは,3次元解析法であるボクセル式形態測定法(VBM)を用いて,同領域における灰白質の減少を立証した。VBMは脳構造を視覚化するための最新の撮像法で,基準座標系を用いて対象物の特徴を描出することができる。
 灰白質を構成する細胞の減少は,慢性疼痛における疼痛抑制と疼痛調節の障害を表すものと考えられる。複雑な疼痛処理システムでは,受容体,電気インパルス,神経伝達物質,ホルモンだけでなく,感情,記憶,さらに思考法も協調的に作用している。
 神経細胞が繰り返し身体中を駆け巡る疼痛インパルスの刺激を受けていると,そのたびにより強く反応するようになる。その結果,疼痛刺激がなくても神経細胞が自発的に活性化し,絶え間なく疼痛信号を発し続ける状態になってしまう恐れがある。健康人ではこれを防止するために疼痛抑制インパルスが生じるが,慢性疼痛患者ではこうした現象が見られない。疼痛記憶のせいで,疼痛がいわば"独り歩き"するのである。
 例えば,痛めた腰は完治しているにもかかわらず,脳が腰痛の信号を発し続けることがある。疼痛調節機能が損なわれ,急性疼痛が慢性的な疼痛状態に移行するのである。

脳構造の変化発生の原因解明を
 May講師は「この構造的変化は,古くから議論されている疼痛記憶を表すものかもしれない。こうした記憶システムが疼痛の慢性化に関与していると考えられる」と指摘。「今後,脳構造の変化が疼痛の結果なのか,それとも原因なのかを解明したい」としている。
 もし,脳構造の変化が慢性疼痛の結果で,疼痛症候群の原因ではないとすると,疼痛は適切な治療により消失するはずである。顕微鏡レベルでの灰白質減少が何を意味するのかも,まだ明らかではない。神経細胞の縮小あるいは消失なのか,それとも同領域の血流が減少しているのかは不明であるため,今後,灰白質を構成する細胞を詳しく分析する必要がある。
 同講師は「脳領域の変化がどのようなもので,なぜ生じるのかが明らかになれば,慢性疼痛症候群への理解を深め,効果的な新しい治療法の開発につながる」と期待している。
 今回の研究はBMBFの助成を受けた。
[Medical Tribune 2009年2月12日号(VOL.42 NO.7) p.66]



記事中の

『複雑な疼痛処理システムでは,受容体,電気インパルス,神経伝達物質,ホルモンだけでなく,感情,記憶,さらに思考法も協調的に作用している。
 神経細胞が繰り返し身体中を駆け巡る疼痛インパルスの刺激を受けていると,そのたびにより強く反応するようになる。その結果,疼痛刺激がなくても神経細胞が自発的に活性化し,絶え間なく疼痛信号を発し続ける状態になってしまう恐れがある。健康人ではこれを防止するために疼痛抑制インパルスが生じるが,慢性疼痛患者ではこうした現象が見られない。疼痛記憶のせいで,疼痛がいわば"独り歩き"するのである。
 例えば,痛めた腰は完治しているにもかかわらず,脳が腰痛の信号を発し続けることがある。疼痛調節機能が損なわれ,急性疼痛が慢性的な疼痛状態に移行するのである。』


は、重要な記述ですので、再読と理解をお勧めします。