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「カイロプラクティックたんぽぽ」院長のブログです
スポーツするのは苦手…でも観戦は好き、という方には嬉しい報告です。

スポーツで言語関連の神経が活性化 脳のfMRI研究で判明

〔ニューヨーク〕シカゴ大学(シカゴ)心理学/神経学のSian L. Beilock博士らがProceedings of the National Academy of Sciences USA(2008; 105: 13269-13273)に発表した研究で,なんらかの活動,例えばスポーツなどにかかわる場合,ヒトの言語システムは柔軟かつ動的で,中核言語ネットワークの外部に存在する経験と関連する神経を活性化してその機能に取り込むことが判明した。

観戦でも同等の理解強化
 今回,Beilock博士らは,スポーツをするだけでなく,スポーツを観戦するだけでも,言語の理解を強化するうえで役立つ可能性があることを明らかにした。今回の研究では,アイスホッケー選手とアイスホッケー・ファンの脳はアイスホッケー関係の言語を処理する機能に優れていることが判明した。
 同博士らはアイスホッケー選手12例(プロまたは大学対抗リーグ所属),アイスホッケー・ファン8例(観戦経験は豊富だがプレーをしたことはない),およびアイスホッケーの試合を見たことがない9例に言語テストを行った。全例が男性で,年齢18~35歳であった。
 今回の研究では,まず被験者に機能的MRI(fMRI)走査を行いながら,アイスホッケーの動作またはアイスホッケー以外の動作を表現した文章を読み聞かせた。その後, fMRI走査をせずに被験者に言語と絵の課題テストを行い,聞いた内容の理解度を評価した。
 その結果,アイスホッケー選手とアイスホッケー・ファンがアイスホッケーに関する言語を聞くと,十分に学習した身体活動を計画・実行するために使用する特定の脳領域が活性化することがfMRIで確認された。
 同博士らは「特殊な運動経験が実際に行動する意図がない場合でさえ,通常は高レベルの行動の選択と実施に向けられた領域である左背側外側運動前皮質を活動させて,行動関連言語の理解を強化するというエビデンスが得られた」と説明している。
 したがって,スポーツをしたり観戦したりする経験は,その理解に役立つ神経ネットワークをスポーツ技能の遂行時に活性化する領域を組み込むように変えることで言語理解に持続的な影響を及ぼす。
 対照的に,スポーツをしたり観戦したりする経験のない人では,脳の働き方が異なる。このような人の脳では言語処理の間,より低いレベルの感覚運動領域が活性化され,一次運動野の活動は理解に寄与していなかった。なお,右背側一次感覚運動皮質の活性化と,アイスホッケーをしたり見たりする経験との間には負の相関が認められた。
 成人の言語処理は非常に安定していて変化を受け付けないと考えられがちであるが,今回の研究では,言語システム内の柔軟な変化は非言語関連領域の活動から発生しうることが示された。

言語理解以外の領域が重要
 今回の研究では,経験のない人が使用する言語は,関連のある経験を持つ人が使用する場合の言語ほど完全にはニュアンスと深みを内包していない可能性が示された。
 Beilock博士らは,今回得られた知見について,「言葉を聞いているときに,経験が運動前皮質と一次感覚運動皮質の活性化の程度を変化させるイベントの因果連鎖モデルが描かれる」と説明。「これが理解における差を生み出す」と述べている。
 同博士は「今回の研究は,スポーツの動作に関する言葉を聞いているときの運動野における経験に依存して起こる活性化が,理解の付帯徴候的副産物ではなく,効果的な理解にとって不可欠な構成要素であることを示している」と指摘。「これらの脳および行動の変化は,競技場やスケートリンクでの実際のプレー経験によって達成されるだけでなく,観覧席での経験によっても強化される深いレベルの言語理解を反映するものである」と述べている。
[Medical Tribune 2009年2月19日号(VOL.42 NO.8) p.52]