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「カイロプラクティックたんぽぽ」院長のブログです
“笑い”がもたらす効果の研究報告について、

過去にもいくつか紹介しましたが、

今回は、痛みについてです。ご参考にどうぞ。



笑いは最高の鎮痛薬、痛みの許容レベルが10%上昇英研究

 友人と一緒に笑う時間を共有すると鎮痛効果が得られるらしい。英オックスフォード大学社会文化人類学研究所のRobin I. M. Dunbar所長らは、上品なくすくす笑いではなく、腹式呼吸などの体の動きを伴う笑いでは、体力を消耗することでエンドルフィンが放出されることを明らかにし、英学術専門誌「Proceedings of the Royal Society B」(電子版)に発表した。エンドルフィンは、鎮痛作用と多幸感をもたらすと考えられている。また同所長らは、誰かとコメディー番組を15分間見るだけで、痛みの許容レベルが平均で約10%上昇することも突き止めた。

他者との共有で笑いが30倍に
 Dunbar所長は「体の動きを伴う自然な笑いだけがエンドルフィンの放出を促進するのは、人間が社会性を発達させる進化を遂げた結果だろう」と述べている。また、多くの研究から、人間は1人でいるときよりも誰かと一緒にいるときの方が30倍多く笑うことが示されている。今回の研究でも、エンドルフィンの大量放出は、腹式呼吸を伴う心からの笑いを誰かと共有したときに限られることが示唆されている。

 同所長らは、リラックスした状態での目元にしわができる自然な笑いと、笑いじわをつくらない上品な笑いを分けた。前者では息を吸わずに連続して息を吐くが、これは人間特有の不随意運動(意思と無関係な動作)。こうした運動により、エンドルフィンの放出が誘発されるという。笑いは大型類人猿でも観察されるが、人間以外では笑う際に息を吐くだけでなく息を吸う動作も見られる。

 同所長らは今回、痛みの対する許容レベルがどのような要因で決定されるのかを検討するため、10年以上に及ぶ6件の試験を実施した。それぞれの試験対象者は、実験室でテレビ番組を視聴するか、劇場などで舞台を観覧し、その前後に痛みの許容レベルを測定した。この測定は、氷冷スリーブ、血圧測定カフによる加圧、痛みを伴うきついトレーニングで行った。

笑うこと自体が重要
 その結果、ゴルフレッスンやドキュメンタリー(いずれも脳を活性化させることを意図した内容のもの)の番組に比べて、『Mr.ビーン』や『フレンズ』などのコメディー番組を15分間視聴する方が痛みの許容レベルを上昇させることが分かった。また、視聴者をリラックスした気分にさせる自然番組の視聴では、ゴルフレッスン番組の場合と同様に痛みの許容レベルに大きな変化は認められなかった。このことから、エンドルフィン放出による鎮痛効果に重要なのは笑い自体であって、心地よさや満足感によるものではないことが示唆された。

 別の試験では、英エジンバラで開催される芸術祭でコメディーライブを観覧した参加者と、演劇を見た参加者で痛みの許容レベルを比較した。その結果、笑いを誰かと共有することで得られる鎮静効果は実験室に限られたものではなく、実際の生活の中でも発揮されることが確認された。

 Dunbar所長は「人間が笑う理由や社会生活における笑いの役割については、これまでほとんど研究されていなかった。今回、参加者の笑いを録音して検討した結果、彼らはコメディーを見ている時間の3分の1を笑って過ごし、それにより痛みの許容レベルが上昇した。笑いが人間社会で非常に重要な役割を果たしているのは、こうしたエンドルフィン放出作用によるものだろう」と述べている。

 人間を含む霊長類で重要とされる笑いは、これまで学術的にはほとんど注目されていなかった。今回の最新論文は、エンドルフィン放出を促進するためにはグループ活動が重要であることを示唆した同所長による別の研究結果からも裏付けられている。

 同所長らが以前に行った研究(英学術専門誌「Biology Letters」2010; 6: 106-108)では、競技ボートチームのメンバーが個人ではなくグループでトレーニングすると、痛みの許容レベルが上がることが示された。演奏やダンス、宗教儀式といった共同体活動も幸福感を作り出すことが分かっている。複数の研究によると、これらも脳内のエンドルフィン放出と関連している可能性があるという。(2012年1月6日:Medical Tribune)