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「カイロプラクティックたんぽぽ」院長のブログです
これまでにも、魚の摂取による効果の研究報告はたくさんありましたが、

魚そのものを食べるからこそのものであって、

魚に含まれている栄養素だけを摂ったところで、その効果は期待できないようです。

ご参考にどうぞ。

魚の摂取による脳血管リスク低下はω3脂肪酸に由来しない

 魚は心血管保護効果のある食べ物の1つで、魚摂取による利益は、魚に含まれるω3(n-3)不飽和脂肪酸に由来すると考えられている。だが、英Cambridge大学のRajiv Chowdhury氏らが、観察研究と無作為化試験を対象とする系統的レビューとメタ分析を行ったところ、魚の摂取量が増えると脳血管イベントリスクは有意に低下するが、ω3脂肪酸自体に有意な利益は見られないことが明らかになった。論文は、BMJ誌電子版に2012年10月30日に掲載された。

 現行のガイドラインは、健康維持を目的とする積極的な魚の摂取を推奨している。これまでに行われた研究は、魚に含まれるω3脂肪酸(エイコサペンタエン酸〔EPA〕、ドコサヘキサエン酸〔DHA〕など)をサプリメントの形で日常的に摂取すると、不整脈や血管内皮の障害が抑制されることを示していた。しかし、魚の摂取、ω3脂肪酸の摂取が血管疾患リスクにどの程度の影響を及ぼすのかについて、明確な結果は得られていない。

 著者らは、魚の摂取とω3脂肪酸の摂取が脳血管イベントの1次予防と2次予防に役立つのかどうかを明らかにするために、系統的レビューとメタ分析を行った。

 Medline、Embase、BIOSIS、Science Citation Indexデータベースに12年9月までに報告された研究の中から、前向きコホート研究(追跡期間が1年以上で、一般集団または心血管リスクが高い集団を対象にしたもの)または無作為化試験であり、魚またはω3脂肪酸の摂取(自己申告による食物摂取量に基づく)、血液中のω3脂肪酸レベル、もしくはω3サプリメントの摂取と、脳血管疾患(致死的または非致死な虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管障害、一過性脳虚血発作)の関係を調べていたものを選んだ。1次予防を目的とする研究(心血管疾患の既往がない人々を登録)と2次予防を目的とする研究(心血管疾患の既往がある人を登録)の両方を分析対象とした。

 26件の前向きコホート研究と12件の無作為化試験が条件を満たした。これらの試験の対象者は15カ国の計79万4000人で、3万4817件の脳血管イベントが報告されていた。

 魚の摂取量と脳血管イベントの関係を調べていたコホート研究は21件で、67万5048人に2万5320件のイベントが発生していた。1週間の魚料理摂取が1皿以下の人々に比べ、2~4皿を摂取していた人々の相対リスクは0.94(95%信頼区間0.90-0.98)、5皿以上を摂取していたグループの相対リスクは0.88(0.81-0.96)になった。研究間の不均一性は低かった。

 一部の研究は、白身魚と脂肪が多い魚に分けて脳血管イベントへの影響を調べていた。6万2799人のデータをプール解析したところ、白身魚摂取に限定した場合の相対リスクは1.03(0.90-1.19)、脂肪の多い魚では0.84(0.72-0.98)となった。

ω3脂肪酸と脳血管リスクの関係を調べたコホート研究は14件あり、30万5119人に5374件の脳血管イベントが発生した。14件のうち、4件が血中のω3脂肪酸レベルとイベント発生の関係を、10件が食物を介したω3脂肪酸摂取量とイベント発生の関係を調べていた。

 ベースラインの血中ω3脂肪酸レベルが高い方から3分の1に属していた人々の脳血管疾患リスクを低い方から3分の1の人々と比較した場合の相対リスクは1.04(0.90-1.20)。食物を通じたω3脂肪酸摂取量が高い方から3分の1に属していた人々のリスクを、低い方から3分の1の人々と比較した場合には0.90(0.80-1.01)となり、いずれも有意差は見られなかった。

 ところが、分析可能なデータを提示していた11件のコホート研究を対象に、魚の摂取量が多い方から3分の1の人々の脳血管イベントリスクを、摂取量が少ない方から3分の1の人々と比較したところ、相対リスクは0.91(0.86-0.97)と有意差がみられた。

 無作為化試験では、介入群に平均1.8g/日(レンジは0.4~6.0g/日)のω3脂肪酸サプリメントを投与していた。追跡期間は平均3.0年(1.0~4.7年)で、介入群には計800件、対照群には計763件の脳血管イベントが発生していた。プール解析した介入群の相対リスクは1.03(0.94-1.12)で、リスク低減はみられなかった。研究間の不均一性は低かった。

 1次予防を目的としてω3脂肪酸サプリを投与した研究における相対リスクは0.98(0.89-1.08)、2次予防を目的とした研究では1.17(0.99-1.38)だった。

 以上のように、観察研究のデータは、魚の摂取と脳血管リスクの間に中等度の逆相関関係を示した。一方で、血中のω3脂肪酸レベルと脳血管イベントの関係を調べた観察研究と、ω3脂肪酸サプリの使用と脳血管イベントの関係を調べた無作為化試験においては、有意な関係は見られなかった。

 著者らはこれらの結果について、「魚の摂取の利益は魚に含まれるさまざまな栄養素の相互作用による可能性がある。魚の摂取が増えれば、血管リスクを上昇させる食品、たとえば肉の消費が減る可能性や、魚の摂取量が個人的な健康に対する意識の高さを反映している可能性も考えられる」と述べている。いずれにせよ、ω3脂肪酸という単一の成分のみに脳血管イベントの有意な低減を期待することはできないことが示唆された。

 原題は「Association between fish consumption, long chain omega 3 fatty acids, and risk of cerebrovascular disease: systematic review and meta-analysis」、全文は、BMJ誌のWebサイトで閲覧できる。(11月16日:日経メディカルオンライン)